点・線・面~II

興味関心のあることがらについて備忘録的に記して行きます。

経営者を辞めて一年が過ぎました

年をとるほどに体感的な時間の経過は早く感じるもので、昨年の8月に会社を譲渡して一年が過ぎました。
早いものです。
経営者を辞めて、自由に過ごせる事を夢想していましたが、そこまできれいな会社にまで作り上げることが出来なかったので、未だに手伝いをしながら何かと小忙しく働いています。現在は過去の行動の結果に成り立っていることを身に染みて感じているこの頃です。

この半年間は、自身が経営者だった頃にいただいた開発要素満載の案件を具現化するために技術屋としての立場で仕事をしてきました。このようなポジションは望んでいたことではあったので助かります。まだ何とかものを作るための知的労働が出来るレベルの能力が残っていたことに安心しました。
しかしながら、他人様のリソース(資金的な)を使って仕事をするのが久しぶりでして、この点の緊張感になかなか馴れません。前の会社を創業したきっかけの一つが、全部の事柄に自分自身で責任を持てる環境で仕事がしたいとのことがありました。

勤め人だったときに、勤め人が故に経営責任を負える立場でないので、根源的には苦手かつ興味の無い仕事を断ることが完全には出来ませんでした。その部分の自由が欲しくて、リスクを取り起業した事を思い出しました。
仕事を介して世の中と接点を持って行く限り、責任と義務とのバランスが常につきまとうことを再認識させられる一年間でした。

この先、今日のような仕事の仕方をどのくらい続けて行くのか、自分の願望がどこを向いているのか良く判らず、ちょっと困ったもんだな~と感じています。

少しだけ判ったことは、私自身の特性としては、一人で決着が付けられる規模の仕事であれば、比較的ストレス少なく、そこそこ成果は出せそうな感じである自覚があります。
まだ、50代前半ですので、もう少し世の中に対して仕事を提供していきたいとは願っているので、前述したようなサイズでの仕事が成り立つ分野を探って行ければと思っています。

もう少し、頑張ります。

 

GRIII~佳きカメラです

まだフィルムで写真を撮っている頃にお気に入りのサブ機としてGR-Iを使っていました。当時は高級コンパクト機がちょっとした流行でして、各社からいろいろなカメラが発売されていました。(楽しかったな~)
このカメラの良さはキレのあるレンズも当然ですが、ファインダーの見え味がいたく気に入っていました。

時が過ぎて、デジカメの時代になり、GRもデジタル化したのですが、光学ファインダーがないことに食指が動かず、歴代のデジカメGRは手にせず過ごして来ました。

今年に入り、写真熱が再燃してきたこともあり、何となく買ってみたのがGRIIIです。

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確かに光学ファインダーがないことは、老眼の進んだ身にはかなりのディスアドバンテージですが、それを補ってあまりある、写りの良さとレスポンスにかなり満足しています。

まだまだカメラに使われているレベルでして、道具を変えると撮る写真が変わってくることにとても面白さを感じています。
まず、起動してから撮影するまでの流れにストレスがなく、このカメラを持って意歩いていると、これまではシャッターを切らなかったような被写体に対しても反応する様になりました。

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周辺減光は”味"として積極的に受け入れられるレベルではありますが、画面全域でキレッキレの描写をします。この写真の様に思いっきり逆光を入れても雑味無くきれいな描写です。ちなみに周辺減光については、カメラの設定でその周辺減光分を補正するオプションがあります。私はこの感じが好きなので使ってはいません。


巷の評判では、高感度側の描写が云々などの意見を散見しますが、個人的には全然満足です。肉眼であっても夜になれば相当に粗い映像を認知している筈ですので、以外と記憶と撮れる写真との間にズレが少なくてこの点も気に入っています。

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この位の写真も手持ちで行けちゃうので、散歩の共には最適です。

ついでに気に入っているのがモノクロモードでの描写です。
これがなかなかにキツい感じなり、夜に使うとその場の印象をストレートの強調してくれる感じです。

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こんな具合に、単眼コンパクト故の楽しさがある良いカメラです。
正直な所、ここまで満足感を持って使えるとは思っていませんでした。

常にスマホは持っていますが、やっぱりカメラで撮る写真の方が「写真を撮るぞ」との意識をキッチリと以て被写体を選び、シャッターを切るので、写真としては良いものが撮れるかなと思います。

改めて、カメラってのは良い道具だなぁ~と思った次第です。




 

TWA Hotel

海外旅行に出かけにくくなって随分と日が経ちますが、こうした状況になる少し前に訪れたホテルの紹介です。

ニューヨークのJFKにあるTWA Hotelです。

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大昔に見た幸せはパリでという映画のラストシーンで舞台になった建物です。
映画を見たときに、

「かっこいい場所だな~」

「セットなのかな~」

とか思っていたのですが、実在する建物であることを知ったときには、既にターミナルとしては使われておらず、訪れることは出来なくなっていました。
その建物が2019年の5月にホテルとしてオープンしてまして、訪れることが可能になったので、このホテルに泊まることを目的として、ニューヨークを訪れました。

チェックインカウンターがフロントになっていて、そこでチェックインを済まして先にすすむとこの景色です。

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ミッドセンチュリー最高!!な景色です。
奥に見える便名と時刻を表示する掲示板も昔ながらパタパタ式で、時折良い音を奏でていました。

丁度クリスマスシーズの滞在でしたので、館内に控え目な音量でクリスマスソングが流れていて気分は上がりました。

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ホテルのフロントから部屋に行くための通路は、ジャックレモンが走っていたトンネルでして、めちゃくちゃカッコいいです。

部屋はいまどきな作りです。
快適でした。

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到着したときに撮った写真しかなくて、外が暗いのですが、滑走路が見える側の部屋に泊まったので、ずっと飛行機を眺めることが出来て私にとっては幸せでした。

ちょっとわかりにくいですが、手前のライティングデスクの上には60年代の雑誌も置いてあったりして、細かい所まで凝っていました。こんな演出も徹底していて良いです。鉛筆なんかもTWAカラーのものでいいお土産になりました。

普段の海外旅行ではホテルにここまでの金額は出さないのですが、ここは納得感のある滞在になりました。

 

この時の旅行では、念願の大西洋越えも敢行して小さな達成感もあり、個人的に旅への意欲が薄れてしまって久しいのですが、さすがに1年半程が経過したら、少しだけ海外旅行にも出かけたくなってきました。
マイルは十分なチャージされているので、来年くらいには久しぶりにどこかに出かけて来るかも知れません。

仕事の選び方

随分と大きく出たタイトルでごめんなさい。

そんな偉そうなことを言える身ではありませんが、社会に出てから30年近く経ち、少しだけ振り返って見たくて書きます。 

「好きこそものの上手なれ」

と言うことわざがありますが、これはかなりのところで真実かなと思います。
子供の頃から、何かしら工作をしたりしてものを作るのが好きでした。ものを考えて作る事が、回りと比べてみても得意な事ではあったと思います。
そんな経験を通して、仕事をするのであれば、ものを作る仕事に就きたいものだと思っていて、その方向で大学まで行きました。ま、個人的な都合もあり、大学に入れて貰うのもギリギリではありましたが・・・・・

最初の会社選びから、出来る事と好きな事の交差するところを狙い、写真関係のメーカに入れて貰いました。ここでの仕事も楽しくはあったのですが、気の多い性格が災いして他に興味が出てしまい、短い時間で会社を移ってしまいました。別の会社に行けば行ったで、これまで知らなかった分野の製品を相手にするので、学ばなければならい事がいろいろあり、数年の間は好奇心も満たされ楽しく仕事が出来ました。

こんな事を繰り返しているうちに30歳を超えて、現在に至るまでに繋がる分野の仕事に当たりました。この仕事はかなりの精度で出来る事と好きな事の交差点に位置する仕事でして、飽くこと無く技術屋としての仕事は続けていられています。

年を重ねて、経験を積んで行くに従い、仕事の範囲は広くなってきて、自分の考え方とその会社の経営方針とのズレを感じる様になって、勢いで独立創業しちゃったりしました。会社を作ってみたら、ありがたいことに他人様を雇用するような会社になっちゃいました。これはこれで良いことなのかも知れませんが、自分が仕事をしている時間の中で徐々にあまり好きでもなく得意でもない仕事に従事する時間が増えて行きまして、なんだか、幸福感が薄れていくのですよね。
ちゃんとした人物であれば、その仕事に合わせて器が大きくなっていくのでしょうが、私の場合はそうではなかったみたいです。

幸いなことに、雇用や商売は維持した形で会社を譲渡する事が出来たので、分不相応に拡がった仕事を、今一度身の丈に合った状態に戻すことができて現在に至っています。

私の価値観としては、ものやサービスを買うときは、その仕事を好きでやっている方から提供された方が気持ちいいです。自分がやる仕事も個人的にも好きな事をやって、生活の糧にしたいなと強く思います。そうでないと、私にお金を払ってくれるお客さんに失礼だと考えています。

自身の経験の範囲内においては、「この人、仕事できるな」と思える方は、その仕事自体と仕事の対象の事がめちゃくちゃ好きな方が殆どです。この点からも冒頭のことわざは真理だと思います。

まだ、その様な分野に巡り会わず仕事をしている方は、今やっている仕事を好きになるか(これ、簡単)、他のことで好きな事ある場合は、他人様からお代をいただけるくらいのレベルまで高める行動をとり続けていくことが、大事な事だと思います。

私自身は、機械の設計(製品は限定されますが)では、お金をいただけるレベルにはなっていると思います。

まだ、もう少しは人生の持ち時間が残っていると思うので、今好きな事の中で一つでもなにかお金を稼げるレベルまで技量を上げて行きたいと思っています。

世の中の殆どの人が好きなことで飯が喰えている社会になるといいなと思います。

頭の中がお花畑とか言われちゃうかも知れませんが・・・・・

3Dプリンターのありがたみ

昨年の事ではありますが、3Dプリンタを買いました。
AFINIA H+1 という機械です。
個人用としてはちょいと値が張りますが、仕事でも使う事だし、との言い訳をしつつポチりました。

こちらを買うときの比較候補として、INFINITY X1というのもありましたが、こちらがオープンフレームであったところが気になり、AFINIA H+1を選びました。


この時の選択は間違っていなかったようです。
主に使っている材料はABSなのですが、出力寸法が水平方向に大きくなると反りが出やすいです。いろいろと調べていると、出力後の樹脂に樹脂の温度が室温に近づくにつれて縮みの影響が大きくでるとの事でした。
以前に経営していた会社で導入した工業グレードの3Dプリンタは、出力エリアが2重壁で覆われ、ヒーターも仕込まれていて、そのエリアの温度が90℃となったところで出力を始めるものでした。こんな凝った仕掛けを作るのですから、やっぱり温度の管理は大事そうです。


AFINIA H+1は出力プレートにヒーターが入って、扉もありいくらかは温度の維持が出来るのですが、そのまま使っていると、1辺当たり150mm位の大きさがあるものを出力すると反りが出ます。そこで、そこで工業用3Dプリンタに少しでも近づけるべく、少しでも効きそうなところに断熱材を貼り、出力時には装置全体をプチプチで覆うことにしました。
内部はこんな感じです。

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このような状態にして、その上で出力を開始する前にプレートのプレヒートを1時間かけて出力エリア内の温度を高めておくと、出力物の反りはかなり改善しました。大体欲しいレベルの寸法精度でモノが作れます。

仕事絡みでいろいろな部品を作っていて、こんな感じで仕上がります。

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これで直径Φ30、高さ50位の部品ですが、このようなものを加工屋さんにお願いして造ってもらうと3万円は下らないと思うので、気楽に造れちゃうのメリット大です。


この機械を選んだもう一つの理由が、使える材料の種類です。
ABSやPLAの他にTPUという弾性材料が使えます。ゴムみたいな材料です。

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材料の特性上、あまり細かい造形は出来ませんが、ABSなどの樹脂では実現出来ない大変形が必要な部品でシンプルな形のものであれば、十分に実用になります。ただ、この材料をまともに出力させるには、ヘッドとプレートのギャップや、ヘッドの送り速度など、美味しいパラメータを見つけるまでは結構苦労しました。
基本的には、ヘッドとプレートのギャップは可能な限り大きく、ヘッドの送り速度は我慢できるところまで遅く、と行ったところでしょうか。

個人使いの3Dプリンタを買ってみて気がついたメリットは、設計の完成度を上げていく時間がめっちゃ短縮出来る点です。
サイズにもよりますが、一つの部品を出力するのに、数10分から数時間です。もし、部品を加工屋さんに造ってもらうとなると、かなり拝み倒して1~2週間の時間が必要です。ここで手にした部品で、イマイチな点があったときに設計を直して、確認するためにまた同じだけ時間が掛かります。
3Dプリンタで部品を作る事を前提に設計を進めて行けば、この試作に要する時間を桁違いに短くする事が出来て、一つの設計をまとめるのに、4,5回以上の試作を重ねて検討を進めることが出来ます。しかもキャッシュアウトは極小です。
このような設計環境は、かなり画期的な事だと思います。

3Dプリンタが普及し始めて、随分時間が経過しますが、設計と試作を通した検証を低コストかつ迅速できてしまうところが最大の利点であることを遅まきながら実感しました。
メカ屋が趣味でものづくりをするには、これまでは手業のレベルで作れるモノが大きく制約されていましたが、このような機械の普及で、かなり楽しめることが出来そうです。

更に楽しむためには、作った機構を動かすためのエレキ・ソフトのスキルを獲得していなきゃと思うところです。

良い時代になりました。

 

 

写真を学び始めました

今年の初めから写真を習い始めました。

写真は一番長く続いている道楽ですが、人から習ったことはありませんでした。

プラクティカルフォト認定講座 | 一般社団法人 日本アート教育振興会 Japan Education of Art Association
の講座を履修中です。

順番があって、2級→準1級→1級と進んで行くもので、今日現在1級なるものと履修中です。
良くある写真の入門みたいなお話ですと、露出などの話からはじまるのですが、こちらの講座では、直角水平や構図の辺りから入っていって、今時のカメラで使う事を前提として、最速で写真が楽しめる領域まで持って行こうとの企画意図を感じました。
実際のところ、2級のレッスンで構図について学んだ後は、家族や友人から随分と写真が変わってきたとの言葉をもらえるようになりました。少しだけ写真を撮るための引き出しが増えた様に実感しています。

最大の気づきとしては、写真は表現のための手段であるところでしょうか。
今までは、良い景色やカッコいいものを見たときに、脊椎反射でシャッターを切っていただけでした。その写真を通して言いたいこととかは全然無かったです。単に「きれいさ」や「かっこよさ」を求めていただけだったように思います。
レッスンの各段階の修了時には、
「テーマを決めて、それを表現する写真を撮る」
とのカメラ小僧的な者にはなかなかにハードルの高い課題が課されます。
この課題に取り組むことで、前述の「写真は表現のための手段」との意識が湧いてきました。絵を描いたり、小説を書いたりする様に写真を作らないと行けないのかな、と思います。

この辺りの感覚は、生業である機械設計にも通じるところがあります。
機械設計の場合には、企画時に期待された機能を満たすために、構造などを考えて行くプロセスですが、おぼろげに思いついた方向で設計を進めて行くと、コストや物理的制約などによって、少し遡って考え方を改めたりしつつ、行きつ戻りつしてゴールに向かう感じです。
テーマを決めて、そのテーマを表現するための写真を撮るのも、全く同じ感じです。はじめにおぼろげなイメージを無理矢理思い描き、実際にその様な対象を探し撮してみて、「テーマを表現する」との役割を十分に果たせる画像なのか、などとの事を検証して、ダメだったら、少し遡って実現解を探す、みたいなことを繰り返している感じです。

全然知らなかった世界を体感することが出来て、刺激的で楽しめています。

ちなみに今時の講座ですので、Zoomを使って自宅で受講していて、講義の中で実際に写真を撮るときは、こんな感じでやっています。

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