点・線・面~II

興味関心のあることがらについて備忘録的に記して行きます。

初めての縄文式土器づくり

自宅を建てる土地から縄文土器片が出てきたこともあり、昨年から古代史にハマっています。後付けぽいですが、昔から割と歴史好きで特に古代史が好きだったので、土器片の一件で寝た子を起こされた感じです。

自宅から近いところに水子貝塚という縄文前期の貝塚とムラと呼べるレベルの住居跡群が見つかった史跡のなかに水子貝塚資料館があります。ここでは市内から発掘された石器、土器、鉄器などの遺物の展示と、水子貝塚で見つかった住居跡の発掘状況の復元模型(実物大)などの展示があります。これはこれでなかなか興味深く見られます。

この資料館が毎年開催している土器づくり教室なるイベントがあります。
県内で採取した粘土を含む土をこねて、縄文時代と同じ様に野焼きで焼成して土器を作る体験が出来るものでして、見るだけとは違って、実際に作ってみることで気づく事もあるかな?と思い参加してみました。

日程は全4日で、最初の日には縄文土器に関するガイダンスがありました。
結構な種類と数の土器が市内から発掘されているのはいい意味で驚きでした。この辺りは昔から住みやすい土地だったのでしょうね。
実際にモデルとなる土器を選ばせてもらえます。しかも発掘された本物。
私が選んだのはこちら。

羽沢遺跡から発掘された、縄文中期のもので、型式としては勝坂末期~加曽利EⅠ式とされるものです。
ちなみに、型式は全然勉強途中でして、今の段階では「はぁ、そうですか」レベルです。
これまでも仕事柄、博物館などには割と出入りしていましたが、流石に展示品を触ることはありませんでした。それが、なで回せる経験はとても貴重でありがたい経験でした。

次は粘土作りです。

このような粘土を含む土を分けてもらい、これに川砂を混ぜながら延々と練ります。合計4時間くらい練り続けました。見た目は粘土っぽくなったところで、満足してこの日は終わりにしました。実際に成形する前に2週間ほど寝かすのが良いらしいとのことでした。理由は良く判らないみたいです。
しかし、土器を作る段になって気がつきましたが、練りが甘かったです。

実際に現物を眺めながら、土器を積み上げて行きます。
この時に気がついたのは、実際に作ろうとすると、めちゃくちゃ詳しく観察が必要となります。博物館の展示品を唯眺めるのとは桁違いの集中力をもって観察しなくてはならず、とても良い勉強になりました。
作ってみるとなかなに面倒くさいので、このオリジナルを作った人の中でこの文様である大きな理由があるのであろうと思いました。その意味までを感じとることは出来なかったのですが、大事なものを作ろうとしていることだけは分かった気がします。これだけでも収獲です。
実際に成形した状態がこちら。

何となくそれっぽく出来た気が・・・・・

ここから1週間自然乾燥させて、貝や石を使って表面をなめらかにしました。磨きと言う工程らしいです。
私の場合は、線彫りの模様が多かったのであまり磨ききれませんでした。

ここから更に1ヶ月乾燥させていよいよ焼成となりました。
公園内の木々の枝を燃料にしてたき火をし、先ずはその火の回りに土器を置き、温度を馴染ませた後に、たき火の中心に土器を置き、新たに枝をくべて火力を上げて焼成しました。実際に火の中にあったのは20分くらいだと思います。

こんな感じで焼きました。

火が落ちて、温度が下がってから取り出してみると、割れずに無事に完成しました。

煤もいい感じについて、個人的には大満足な土器が出来上がりました。

粘土の練りと磨き工程が甘かったようで、水はダダ漏れで何ら実用になりません。


やはり、一度でも実際に作ってみると、展示されている土器を見る解像度が一気に上がった気がします。
確実な答えを得ることはほぼ不可能だと思いますが、この先土器を見る機会を積極的に増やして、これらの文様の意味などについて妄想を続けて行きたいと思います。